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「読書感想文・小説★★★(7)」の詳細記事: にょほほんっと3

にょほほんっと3

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読書感想文・小説★★★(7)

「静かな大地」池澤夏樹(朝日文庫)
全1巻

池澤夏樹は現代の語り部である。
主人公の口を借り、主人公の父の口を借り、次の時代を作る子供達に語りかける。
それはアイヌのフチ(お婆さん)が火を囲み、子供に話を聴かせていく様に似ている。
「南の島のティオ」(”おすすめ小説その1”参照)同様、子供にもわかる話は、大人
にも読みやすく理解しやすい。これまで語られてこなかった歴史が、読んだ人に
実感しやすく描かれている。秀逸。

さて、ここから先は若干、ネタばれになりそうなので、これから読む人はご注意願いたい。

この話は、開拓期の北海道に移住した人物(和人)が、アイヌとともに生き
アイヌと和人の理想郷を作ろうと試みて一時は成功した。しかし、妬みを買って
没落していった歴史だ。それはそのまま明治以降の北海道のあちこちでみられた
光景だろう。私は本州の人間なので、歴史を習う上で北海道のことはほとんど
教わっていない。アイヌの歴史にいたっては、民の存在を知っている程度だ。

この本において、歴史が進むにつれアイヌがじわりじわりと和人に押しやられて
いく姿が物悲しい。アイヌは圧倒的に広大な自然に尊敬の念を抱き、大地とともに
生きる。大地には熊も鹿も狼も狐も梟も鮭も含まれ、それぞれに役目が与えられて
いると考えられていた。熊を射た時は送りの儀式をして御魂を熊の神の国へ送る。
川を上る鮭は神からの贈り物なので獲り過ぎないようにする。
その暮らしは「風の谷のナウシカ」に出てくる『風の民』の姿とダブる。

アイヌと和人は北海道の地で共に生きることができなかったのだろうか。
自分達の暮らし(文化)を正とし、相手の文化を頑なに受け入れなかったことが
現在に至るのだろうか。習慣や言葉の異なる人々が、互いに理解しあう前に相手を
蔑んで差別するのは何故だろうか。
アイヌは揉め事は何日にもわたるチャランケ(論議)で決める。しかし、和人は
『初めから決めておいて、武器を使って従わせる。アイヌには何の相談もしない。』
(本文引用)

アイヌには記述する文化はなく、言葉(語り部)の文化だった。
戒めや歴史は口伝えの物語で学ぶ。火を囲んだ子供達に、フチ(お婆さん)は
『聞く子らの顔を見ながら、お話を伸ばしたり縮めたり、眠そうな子がいたら
いきなり大きな声を出したり』(本文引用)工夫しながら話を進めた。
文章にかかれた物語は、一方的に話を読まれるだけ。しかし、時を越えて残る。

私はこの本を、北海道の田舎暮らしを経て、実感しながら読めてよかった。
どこかに行くにも馬や鹿や狐が通る山道を一時間以上かかり、降り積もった
雪をかきわけてから車に乗る。道具の進化で昔よりはるかに楽になったけれども
不便な生活の中で自然への畏怖を感じつつ、力や知恵を寄せ合って暮らしている。

良い時期に指針となる良い本を読んだと思う。
私は、私がやるべきことを少し理解ったような気がした。


===================================
それにしても・・・。う〜む。一回書いたのに、見事に送信時に消えた・・・(爆)。
こ、こういう時に限ってバックアップを取っていないのは何故だらふ(TT)。
思い出し書きなので、文章がだいぶ違うぅぅぅ(泣)。

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